宮地エンジニアリンググループの強み

あらゆる工事に対応可能な戦略・特殊機材の保有

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橋梁の架設工事では、小割して製作されたブロックをベント(=仮受け台)で受けながら順次架設するクレーンベント架設工法が主流ですが、道路や鉄道の上を跨ぐ等、長期にわたる通行止めが難しい箇所においては、送り出し等の特殊架設工法により施工を行う必要があります。そして、それを実現するためには数多くの特殊架設機材と、それらを用いた架設計画力と現場管理能力が必要不可欠となります。高難度な特殊架設工事を数多く手掛けてきたMEGは、短時間で鉄道上等を架設するための高速送り出し機材や、大ブロックを一括架設するための大型ユニットジャッキ等を開発した実績も多数保有しており、特殊架設に関する業界屈伸の技術力を保有しております。また、技術的難易度の高い大規模更新工事や大型工事への取り組みを拡大するためには、常に多くの特殊機材を備えておく必要があることから、MEGは全国4か所に機材センターを置き豊富な戦略・特殊機材の維持・更新を行っております。さらに、MEGは災害発生時に損傷した社会的インフラの緊急復旧工事においても、それらの豊富な戦略機材を駆使することにより、早期復旧に数多くの貢献をしてまいりました。

1 特殊架設工法とは

(1)クレーンベント架設工法

鋼橋を架設する際の最も一般的な架設工法で、工場で製作して運搬されてきた部材を、クレーンを使ってベントで支えながら正規の位置に配置し、ボルト等で繋げた後にベントを撤去する工法です。

(2)送り出し架設工法

架橋する径間の橋軸方向隣接ヤードで地組した橋桁の先端に軽量な手延べ機(必要に応じて後方に後方桁)を取り付け、スライドジャッキやエンドレスローラー等の油圧機器を使って正規の位置まで送り出す工法です。隣接する桁の上から送り出すことも多く、その場合は正規の高さにジャッキダウンする必要があります。

(3)トラベラークレーン架設工法

架設する橋の上に設置して橋桁の架設を行う為に開発された、トラベラークレーンを用いて架設を行う工法です。橋桁の上に設置するには重量を軽くする必要があるため、トラベラークレーンには通常のクレーンで吊り荷とバランスをとるために設置されているカウンターウェイトの代わりに、橋桁から直接反力をとるための特殊な設備が設置されております。

(4)自走多軸台車による一括架設工法

架設地点とは別の地組ヤードにて組み立てた橋桁を、通常の道路も走行することが可能な自走多軸台車の上に搭載して運搬し、架設する工法です。自走多軸台車は360度方向変換出来る上に、ある程度の段差や勾配にも対応することが出来ます。

(5)ケーブルクレーン架設工法

山間部や河川部等でクレーンの進入が難しい橋梁の架設を行う際に、2本の仮設鉄塔の間に展張したケーブルの上を移動するクレーン設備により橋桁の組み立てを行う工法です。組み立て途中の桁をベントで指示することが出来ない場合には、ケーブルクレーン設備とは別のケーブルから鉛直に吊り下げたワイヤーロープにより橋桁を支持するケーブルクレーン直吊工法と、仮設鉄塔の上から斜めに引っ張ったケーブルで支持するケーブルクレーン斜吊工法に分かれます。

(6)スライドジャッキによる横取り架設工法

橋脚上に配置したスライドジャッキ等の仮設備により、正規の位置とは横にずれた場所で地組した桁を横スライドして、正規の位置に据え付ける工法です。クレーン架設時の俯角による交通影響縮減や、道路や線路上での作業時間を短縮できる効果等があります。

(7)フローティングクレーンによる大ブロック一括架設工法

架設地点が海上であり、大型のフローティングクレーン(FC)が接近可能な場合は、岸壁ヤードにおいて地組した橋桁や主塔等の大きなブロックを、大型FCにより一気に架設する一括架設工法が用いられます。この工法では、架設に伴う海上封鎖等に伴う航行する船舶への影響を最小限に出来ると共に、安定した地上で地組を行うことにより、品質の向上も図ることも出来ます。

(8)大型クレーンによる一括架設工法

架設地点の近くに大型クレーンを組み立てるヤードが確保出来る時には、地組した大きな橋桁を大型クレーンにより一夜間で一気に架設する一括架設工法が用いられます。この工法では、架設作業に伴う通行止め等の交通影響を最小にすることが出来ます。

(9)その他の特殊架設工法

上記①~⑧の工法以外にも、MEGは蓄積された架設技術と豊富な特殊機材により、現場の条件に応じた様々な架設工法の実績があります。そして、それらの架設技術は橋梁のみでは無く、建築の世界においても発揮されております。

(10)撤去工法

既に架橋されている橋梁を撤去する場合は、利用している人や交通への配慮が必要であり、新しく橋を架設するよりも同等以上の高度な技術力が必要となります。MEGは蓄積された架設技術と保有する多くの特殊機材を活用して、数多くの特殊な撤去工法にも取り組んでおります。

(11)建築に関する特殊工法について

MEGは、橋梁に関する特殊工法に関する技術のみでは無く、大空間・特殊構造物の建設作業に必要となる特殊工法の技術につきましても保有しております。その中の代表的な工法について、いくつかご紹介させて頂きます。

2 全国4か所の機材保管拠点について

【橋梁架設工事における「機材」の位置付けについて】

鋼製橋梁の架設工事においては、工場で製作された橋桁ブロック(10数ton)を架設現場にて組み立て、数百ton~数千tonにもおよぶ橋梁を完成させるものです。工事中には、そのブロックを架設位置まで運搬して組み立て、必要に応じて仮支持・移動させ、橋梁を完成させていきます。一般的な土木工事と比較して、現場でハンドリングする部材の重量が圧倒的に大きいのが工事の特徴のひとつと言えます。

そのような大重量物を運搬して組み立て、仮支持あるいは移動させるためには、市中の汎用リース品では対応できず、大重量物に対応可能な専用の機材を用いることが必要不可欠となります。

河川上の送り出し架設工法

横取り架設
塔付ブロックスイング架設
補剛桁直下吊上架設工法

【自社機材保有による優位性】

一般的なクレーンベント架設工法では、汎用的なクレーン車とベントと呼ばれる仮支柱を準備すれば架設作業を行うことも可能ですが、現場条件によっては、クレーンベント架設工法が採用できない現場も多々あります。鉄道上や大きな交差点上、山あいの渓谷や海上に位置する橋梁などがこれに該当します。

一般的なクレーンベント架設工法が適用出来ないこれらの特殊な環境においては、それぞれの条件に適した特殊な架設工法を採用する必要がありますが、その施工を行う為には特殊な架設機材が必要となります。 そして、その特殊な架設機材を保有して使いこなせなければ、特殊架設工事を行うことは出来ないのです。
特殊機材を保有する事の重要性は、橋梁に限った話では無く、東京スカイツリー等のタワー鉄骨建築作業や、東京アクアティクスセンターやエスコンフィールド HOKKAIDOなどの特殊建造物の鉄骨建築作業においても、その計画や施工を行う上でとても重要な要素となっております。

MEGは、全国4か所の機材センターに多くの特殊機材を維持・管理すると共に、その自社保有機材の特質を十二分に理解した施工計画を立案することにより、安全で効率的な工事遂行を行っております。

クローラクレーンベント架設工法

トラベラークレーンによる張り出し架設工法

手延べ機を用いた送り出し架設
上路パイプトラスアーチ橋のケーブルクレーン斜吊架設
東京アクアティクスセンター施工の様子
東京スカイツリー施工の様子

【MEG保有の機材センター】

現在MEGでは4カ所の機材センターを運用しています。
栗橋機材センター、兵庫機材センター ・・・ 以上、MEC
広島機材センター、那須機材センター ・・・ 以上、MMB

各機材センターの概要は以下のとおりです。

所有会社 名  称 所在地 敷地面積
(㎡)
保管機材重量
(ton)
MEC 栗橋機材センター 埼玉県久喜市 46,200 16,000
兵庫機材センター 兵庫県三木市 12,500 6,000
MMB 広島機材センター 広島県三原市 13,500 4,000
那須機材センター 栃木県那須町 11,300 3,500

各センターとも最寄りの高速道路ICから至近距離(概ね10km以内)の交通の要衝に位置しており、いつでも全国各地の施工現場に、迅速に機材を運ぶ事が出来ます。
また、最近その発生が確実視されている東南海地震等の大規模地震発生時にも、集中被災のリスクを低減しながら、全国各地の道路管理者との協定に基づく災害時機材供出要請に対しても、迅速に対応することが可能です。

MEGが所有する機材について

(1)トラベラークレーン設備

トラベラークレーンは、主に河川上等、桁下に自走式クレーンが進入出来ない箇所等でよく用いられる設備です。
自重が軽く、河川部での片持ち架設等に使用されます。MEGでは小型から650tmの大型サイズまで、10基以上を保有しています。

(2)ケーブルクレーン設備

急峻な山岳地帯や、桁下が流水部で自走式クレーンの進入が困難な箇所等でよく用いられる設備です。2本の鉄塔、その間に展張した長いワイヤーロープおよびロープウェイの様に吊荷を吊り下げて移動するキャリア等で構成され、自走式クレーンでは届かない遠い位置へ橋桁を運搬して架設することが出来ます。
MEGは、大小合わせて様々なケーブルクレーン設備を保有しております。

(3)ベント設備

ベントは橋桁の架設時に用いる大型の仮支保工で、橋梁架設においては、ほとんどの工事で使用される最も主要な機材です。
その為、特殊架設工法を得意とするMEGでも非常に多くのベントを保有しており、現場条件や作用する荷重に応じて、断面がパイプ構造や角形構造のものや、高耐力のハイパーベント等を使い分けながら架設作業を行っています。

(4)工事桁(架設桁)

重い橋桁をベント等と組み合わせて安全に支える為に使用する梁材です。高さ300㎜~912mmのH型鋼の梁材は、横取り架設時の軌条設備等としても使用しています。また、より重い橋桁を長スパンで支える為の工事桁(高さ1.2m~3m)も数多く保有しています。
現場のニーズに応えるべく、高さや長さの異なる様々な工事桁を組み合わせる事により、各々の現場に最適な設備を配置する事が出来ます。

(5)手延べ機

手延べ機は、跨線部や渡河部等で橋桁を送り出して架設する時、桁の先端に取り付けて安全に送り出す為の機材です。
重量が橋桁本体に比べて軽く、送り出し時に転倒が生じないように長さを設定します。
MEGは、I桁形式の手延べ機材を20基以上保有しており、工事桁と組み合わせる事により、100m以上の送り出し架設も可能としております。

(6)各種台車設備

MEGは、重量物である橋桁や工事桁等を運搬する為の台車設備も多数保有しています。
自走台車は、線路の上や工事桁の上を、モーターや油圧ジャッキの力により自走する事が出来ます。

(7)建築に関する特殊機材について

重い橋桁をベント等と組み合わせて安全に支える為に使用する梁材です。高さ300㎜~912mmのH型鋼の梁材は、横取り架設時の軌条設備等としても使用しています。
また、より重い橋桁を長スパンで支える為の工事桁(高さ1.2m~3m)も数多く保有しています。 現場のニーズに応えるべく、高さや長さの異なる様々な工事桁を組み合わせる事により、各々の現場に最適な設備を配置する事が出来ます。

3 災害発生時に損傷した社会インフラの緊急復旧工事

災害発生時に損傷した社会インフラの緊急復旧工事

MEGは、災害発生時に損傷した社会インフラの緊急復旧工事に際しても、その蓄積された技術力と豊富な特殊機材を活用した迅速な対応により、大きな社会貢献をしております。
その中のいくつかの事例について、ご紹介させて頂きます。

①阪神淡路大震災における災害復旧工事

  • JR六甲道駅の復旧工事 1995年1月の阪神淡路大震災により大きな被害を受けたJR山陽本線六甲道駅の復旧工事において、通常は2年以上かかるとされた工期をわずか3か月弱にまで短縮した、スラブをそのまま持ち上げるジャッキアップ作業においても、とても重要な役割を果たしました。
  • 3号神戸線復旧工事 同じく地震で完全に倒壊したRC構造の高架橋を、9径間連続鋼床版箱桁橋2連(約5,400t)に架け替えた阪神高速道路3号神戸線復旧第7工区においては、持てる資本の質と量を総動員して詳細設計、製作、架設作業に取り組み、数年はかかると言われていた3号神戸線全線開通を震災からわずか1年8カ月にまで短縮させる事に大きく貢献しました。 阪神高速道路株式会社ご提供
  • その他の震災復旧工事 阪神淡路大震災は、橋梁の耐震基準を大幅に見直す契機となった戦後初の都市直下型大地震で、かつてない規模の橋梁で多大な損傷が発生し、MEGはその復旧工事においても様々な活躍をしました。中でも、神戸大橋、六甲大橋等の複数の長大橋で多大な損傷が発生した神戸港港湾道路及びポートライナーの復旧工事においては、迅速な初動対応により現地状況を適切に把握し、最適な方法にて早期復旧に大きく貢献しました。また、阪神高速5号湾岸線復旧工事においては、同じく多くの橋梁の早期復旧に貢献したばかりではなく、現地調査に基づく東神戸大橋(斜張橋)や西宮港大橋(ニールセンローゼ橋)の被災メカニズムの解明にも大きな貢献を果たしました。

②新潟県中越地震における被災した上越新幹線高架橋橋脚の復旧工事

2004年10月の新潟県中越地震において座屈した上越新幹線のRC高架橋支柱において、高架橋の更なる倒壊を防ぐ為の仮受架台の緊急設置を行いました。

③東日本大震災により被災した東北新幹線高架橋橋脚他の復旧工事

  • 花京院架道橋の復旧工事 2011年3月の東日本大震災において被災した東北新幹線の花京院架道橋の復旧工事をわずか1カ月半で完了させ、4月末の運転再開に間に合わせる事が出来ました。
  • 東北新幹線のRC高架橋支柱緊急対策工事 同じく地震の影響により盛岡駅付近で座屈した東北新幹線のRC高架橋支柱においても、更なる倒壊を防ぐ為の仮受架台の緊急設置を行いました。
  • JR仙石線の名取連絡通路復旧工事 地震により大きく横ずれしたJR仙石線の名取連絡通路復旧工事にも取り組みました。

④山口・島根豪雨災害により被災した第6阿武川橋りょうの復旧工事

2013年7月の山口・島根豪雨災害により流失したJR山口線の第6阿武川橋りょうの復旧工事において、通常であれば2年以上の工期が必要とされるところを、早期復旧に向けて全社が一丸となって取り組み、設計着手から架設完了迄をわずか1年足らずで完了させることが出来ました。

⑤熊本地震により被災した熊本城飯田丸五階櫓倒壊防止緊急対策工事

2016年4月の熊本地震により倒壊の危機に瀕していた熊本城飯田丸五階櫓の倒壊防止緊急対策工事において設置された大掛かりな設備は、MEGの所有する機材により、これ以上倒壊させない為に細心の注意を払って計画・施工したものです。他にも、地震により大きな被害を受けた俵山大橋(県道熊本高森線)および第一白川橋りょう(南阿蘇鉄道)の架け替え工事の施工等も行いました。

⑥九州北部豪雨災害により被災した花月川橋りょうの復旧工事

2017年7月の九州北部豪雨災害により流失したJR久大本線の花月川橋りょうの復旧工事において、地元からの強い早期復旧の要望に応える為、設計・製作・工事部隊が一体となって取り組み、被災からわずか1年で全線復旧すると言うJR九州による驚異的な計画の実現にも貢献しました。

⑦令和元年東日本台風により被災した日野橋(東京都)の復旧工事

2019年10月の令和元年東日本台風(台風19号)により橋脚が沈下して通行不能となった日野橋の復旧工事において、通常であれば2年以上の工期がかかるところを、設計・製作・架け替え作業までをわずか半年で完了し、通行を再開する事が出来ました。

日野橋災害復旧工事(東京都)の
動画はこちら

上記以外にも、MEGは大きな災害発生時にはすぐに現場へ駆け付け、一般社団法人日本橋梁建設協会とも連携しながら、MEGが納入した橋梁の現地調査等を自主的に行い、道路管理者との協議を踏まえ、様々な緊急復旧対策工事等にも取り組んでおります。